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八丁堀で物語の詰まったワインはいかが?

2017/09/11  ステーキなワイン日記

ワインには物語があります。作り手やブドウ品種をひもとけば飲みたい一本がみつかるかも。

八丁堀で肉とワインに溺れる店・デイチバです。

今回は3本のワインを、少し詳し目に紹介します。

無心にワインを飲むのもひとつの楽しみ方ですが、データから連想されるロマンに思いを馳せて今宵は楽しんでみませんか?

バローロ

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製造年:2013年
作り手:パオロ・スカヴィーノ
ブドウ品種:ネッビオーロ
バローロは、バローロ村で生産されているワインの規格です。イタリアワイン格付けの最高峰・DOCG(統制保証付原産地呼称ワイン)を取得しています。DOCGとは、農林省・商工会議所のチェック(DOCGの一つ下は商工会議所のみ)を経て、原産地の呼称を使用できる格式高いワインのことなのです。バローロ村の地質には、マンガン・マグネシウム・石灰質といったミネラル成分がふんだんにふくまれています。そのため高潔な趣の漂う香りと絹のような舌触りのワインを生み出すことができています。加えて、特有のミクロクリマ(局所気候)をもっているため、ここならではの風格をより一層高めています。

伝統派とモダン派がせめぎ合うバローロ村の作り手のなかでもパオロ・スカヴィーノは、「バローロ・ボーイズ」と呼ばれたワイン界の革命児。昔から、バローロのワインは「ワインの王様」と呼ばれ珍重されてきました。一方で、世界進出に成功したフランスワインに比べると、出遅れている印象が否めない時期もありました。そうした危機感のなかで出てきたのが「バローロ・ボーイズ」と呼ばれる人々です。彼らは、それまで飲みごろをむかえる熟成期間が長かったバローロの熟成期間を、果汁と果皮が触れ合う時間を短くしたり、小分けした樽で熟成したりといった現代的な手法でのワイン造りに成功しました。そのおかげで、最高峰の格付けにもかかわらず、毎年安定した値段と味わいを世界に提供しています。パオロ・スカヴィーノの特徴は、モダン派でありながらも、伝統派の良い部分は積極的に取り入れているところ。というよりも、受け入れられるワインのために最高の方法を模索する彼には、伝統派もモダン派も関係ないのでしょう。

ネッビオーロは、熟成期間が3年程度たつと、通常では強いタンニンと酸が和らぎ、驚くような深みと広がりを持つのが特徴。ネッビオーロは、熟成されればされるほど、スミレやハーブやラズベリーといった非常に幅広いアロマを発揮する面白いブドウです。ネッビオーロは、果実の周りに大量の「蝋粉」をつけるため畑が霧がかったかのように見えるそうです。まるで神秘のベールをまとったブドウですね。
バローロのワインは、ネッビオーロといえどもタンニンが比較的弱いので、すっきりとした飲み味で楽しむことができます。

ポデーレ29

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製造年:2014年
作り手:-
ブドウ品種:プリミティーヴォ

ポデーレ29とは、「第29区画農場」という意味です。このような無骨な名前になった理由は、第一次世界大戦後にまでさかのぼります。戦争が終わり、職業の無い退役軍人のために農場の貸与が行われました。そのなかでも29区画目の農場では、日当たりと水はけがよく、オリーブなどをつくっていましたが、今日ではブドウをつくるようになり、ワイナリーへと発展しました。

2007年に設立され、2010年から輸出を始めた比較的新しいワイナリーといえるでしょう。新しいワイナリーらしく、徹底的な自然派としてもしられています。肥料はまかないのはもちろんのころ、ブドウが病気になったとしても、ワインの味を落とす銅や硫黄はまかずに対処するというのですから、驚きです。収穫も全て手摘みで行います。手摘みすることによって、カビや腐敗したブドウを選別しながら収穫することができます。それがポデーレ29の雑味のないクリアな味わいにつながっているのでしょう。

プリミティーヴォは、クロアチア原産のブドウで、どちらかというとマイナーなブドウ品種です。名前は、「第一の」というような意味合いなのですが、その名の通り比較的早い時期に熟すのが特徴です。イタリアワインは酸味を特徴とするものが多くなっていますが、プリミティーヴォでつくられたワインは、まさにイタリアを感じされる鮮烈な酸味を感じることができます。さわやかなだけでなく、力強さもあるブドウの味わいといえるでしょう。ポデーレ29のワインは、酸味が強いプリミティーヴォのなかでも比較的おだやかな味わいです。それでいて力強さを残しており、おおらかな大地を感じることのできるワインなのです。

ちなみに、ワイン名の「Avia Pervia」とは、ラテン語で「可能だと強く信じれば、不可能なことは何もない」という意味です。何か成功を祝ったり、だれかを壮行する夜の宴にぴったりの一本なのではないでしょうか。

シャトー・ラネッサン

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製造年:1998年
作り手:-
ブドウ品種:カベルネ・ソーヴィニヨン60%、メルロ30%、カベルネ・フラン5%、プティ・ヴェルド5%

さて、3本目に紹介するシャトー・ラネッサンは、先に紹介した気鋭のワイナリーとは異なり、18世紀後半から続く由緒正しいワイナリーです。フランスの最高級ワインを多数輩出するサンジュリアンの真南にあり、恵まれた土壌のもとで、こつこつとワイン造りを続けてきました。樽にはフレンチオークの樽をつかっているのですが、新しい樽は三分の一のみです。その他には、既に使用した樽をつかっています。これが、シャトー・ラネッサンならではの、優美で構成的な飲み口を生み出しています。

格付けはついていないのですが、格付けを受けても良いとワイン評論家に評されるほどの味わいです。98年もので、かなりお得な値段で飲むことができるワインですので、最初の一杯や〆の一杯に、定番ワインを探している方には、シャトー・ラネッサンを強くおすすめします。

飲み比べて物語を感じてください

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ワインを飲むと、その香りや味わいに、なにか心のなかで閃くものがあるかもしれません。

素直にそれを感じながら飲むと、意外な事実に気が付けるかもしれません。

潮風を感じれば、海岸沿いでつくられたものかもしれませんし、スミレの花を感じれば穏やかな丘陵地のものかもしれません。

物語と出会うことができるのが、ワインの楽しみのひとつなのです。